自宅を賃貸に出す

「転勤族あるある」なのかもしれませんが、マイホームを買った途端に辞令が出て、すぐに転勤、持ち家を賃貸に出した、という先輩が実際にいました。僕の場合、娘が小学生で、最近しっかりしてきていますし、転校は嫌がるでしょうから、もし転勤となれば単身赴任することになると思います。ただ、もちろん一家全員で引越という可能性がゼロではありません。となると、持ち家の住宅ローンと転勤先の家賃の二重負担は避けたいですから、おそらく持ち家を賃貸に出すことになると思います。その場合、何に気をつけておけばいいのでしょうか。

形態形態としては「普通借家」と「定期借家」の2タイプがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるようです。まず普通借家は、あらかじめ契約期間が定められているものの、期間満了時に借主が希望すれば原則として契約を更新して貸し続けなければならなりません。貸主側としては、ちょっと困ったことになるかもしれませんね。一方、定期借家は原則契約の更新ができないので、期間が終われば借主は退去し、家は貸主に戻ってきます(ただし再契約前提で運用されている物件を除く)。転勤の場合、「自分がその家に戻ってくるまでの間だけ貸したい」と考えるのが普通なので、借主に居座られる心配のない定期借家が適していると言えます。ただ、不動産屋さんに相談してみたところ、定期借家で貸すのは簡単なことではないらしいのです。定期借家の場合は契約の際に「定期借家であること」を書面にて説明する必要があり、加えて契約終了の1年前から6カ月前までの間に貸主に終了通知を書面で出さなければなりません。もし忘れると居座られても文句が言えなくなるので、個人の貸主が自分で手続きするのはリスクがある、とのことでした。

書面での説明や通知が面倒であれば、それも不動産屋さんに任せればいいという話なのですが、それもなかなか難しいようです。終了通知などの管理は不動産会社にとしてもリスクを抱えるようです。契約期間が2年前後と短く、事業としての継続性がないため、管理まで委託する場合は手数料が家賃の10%程度かかるケースが一般的。定期借家の場合は不動産会社の業務は借主の募集と契約の締結までで、管理は貸主が自分で行う形が通常となるようです。

「持ち家を賃貸に出すこと」自体には特に煩雑な手続きはなく、契約形態をどうするのか、不動産会社にどこまで任せるのか、家を修繕してから貸すのか、といったことを決める程度だそうです。ただ、そこで定期借家を選択するには、かなりのハードルがある模様。定期借家は借りられる期間が決まっているため、貸主にとっては家賃が低めになってしまうデメリットもあります。かといって普通借家は居座られるリスクがあるとなると、どうやって貸せばいいのでしょう?相談した不動産屋さん曰く、理想的なのは転勤で一時的に住む必要がある人に貸すこと、だそう。そんなにうまくいくのかなとは思いましたが、法人向けの借り上げ社宅を多く扱っている不動産会社も実際に多くあるようです。

その他、賃貸に出す前にクロスの張替えやハウスクリーニングなどのリフォームをするかどうか、既存の家具・家電は持っていくべきか置いていくべきか等、いろいろと判断に迷うところはあります。転勤の間だけとはいえ、家を人に貸すには、ある意味、賃貸事業を営む経営感覚が求められるのですね。素人には荷が重いことも多いので、信頼できる不動産屋さんにサポートしてもらうようにしたいものです。